本日は、TOEICの代用として企業等で導入が始まっているCASECテストのメリット・デメリットについて、記載していきたいと思います。
目次
メリット
拘束時間が短い
受験者および会社の両者にとって、受験時間を含めた拘束時間が短い、ということはメリットといえます。例えばTOEICを受ける場合、日曜にわざわざ会場まで家から足を運び、試験開始30分前ごろから約2時間半にわたって拘束されることになります。折角の休みなのに、たまったもんじゃありません。
受験料が安い
1回の受験料は基本的に3600円で、団体割引などもあります。TOEICの6500円ぐらいの受験料と比べるとかなり割安になるので、受験者個人及び会社共に、経費節約になります。
スコアをすぐに見れる
採点はすべてコンピュータなので受験終了後すぐにスコアが表示されます。会社及び受験者の双方にとっては、事後的なスコア収集事務負担が減り、良いことですね。
デメリット
スコアの正確性に疑義が残る
英語テストにおいて根幹ともいえる部分である、スコアの信憑性。この部分に問題があっては、元も子もありませんが、CASECではそのテスト形式から、スコアの信頼性が低いといえます。
まず、どこでもインターネットに接続してさえいれば、個人で受験ができるということに問題があります。
結論から言うと、簡単にカンニングできてしまうのです。受験者はiPhone片手に辞書アプリを使ったり、ググって答えを出してしまうことができますし、極端な話、以前ゆりやんレトリィバァの件で問題なっていたように、替え玉受験だってできてしまいます。
もちろん、カンニングなどしていては正確なスコアが出ず、受験者個人のためにならないのですが、例えば会社の昇進条件にスコアが少し足りないなどというときにはどうでしょうか?魔が差してしまう人は多いでしょうね。
この点、会社側として個別に対策することは可能です。つまり、社内で受験日時場所を設定し、受験者をそこに集めて同時開催するという方法です。会社としては手間や人件費がかかってしまいますが、このテストを社内利用する際のスコアの信憑性を担保する唯一の方法だと思っています。
TOEICの参考スコアが怪しい
スコアにはTOEICやTOEFLスコアの参考値も合わせて表示されますが、どういう根拠でこのスコアが計算されているのかが不明で、信頼性は低いです。例えば、ディクテーション能力が全体の1/4を構成するCASECで、どうやってTOEICに換算するのでしょうか。TOEICでは、後半大量のリーディングをやらせるため、読解力でスコアが大きく変わる面がありますが、CASECに読解力が重要となる局面はほとんどありません。以上より、TOEIC換算スコアは非常に疑義があるといえるでしょう。
以前、TOEICとTOEFLのスコア換算について記事で触れたことがありますが、やはり各テスト間のスコア換算は、とても精度が低いと思っていただいた方が良いです。換算を過信すると、いざそのテストを実際に受ける際に大怪我をしてしまうことがあるため、くれぐれもご留意ください。(例えば、TOEIC→TOEFL換算を信じて、いざ本番のTOEFLを受け、散々たる結果に意気消沈するなど)
認知度が低い
上記のようにスコアの信憑性に問題があるためかどうかわかりませんが、TOEIC等に比べて、まだまだ認知度が低いといえます。受験者にとっては履歴書に書く際のインパクトの無さ、会社にとっても「ウチはTOEICじゃなくてCASECです」となると、何故そんなよくわからないテストを利用しているのか、単に経費節約じゃないかと思われてしまいそうですよね。
まとめ
導入の進んでいるCASECテストですが、まだまだ課題は多そうです。導入を進める日本企業の担当者には、是非上記にあげた対策を十分に取り、日本人社員の英語能力向上に資するCASEC導入を進めていただきたいものです。