前回の記事では、TOEICの運営会社であるETSから公表されている、TOEICのスコアと英語運用能力の対応関係について見ていきました。どうやら、その対応関係は的を得てなさそうだ、というのが私見でした。
今回は、スコアの有用性をもう少し詳しく見ていきます。そして、海外トップMBA合格、あるいは、海外で活躍するための最低限の英語を身につけるための、TOEICの利用法について検討したいと思います。
1. TOEICスコアの有用性
少なくとも私の経験からは、TOEICのスコアは『英語を使いこなせるかどうか』という観点からは、ほとんど参考になりません。つまり、一般的に会社等で利用されているリスニングとリーディングだけの試験では、肝心のアウトプット能力(スピーキングとライティング)が測定されないため、受験者が英語を使いこなせるかどうかについては、ほぼ判断指標を提供していないことになります。
また、日本在住だと知らない方が多いと思いますが、TOEICは主に韓国と日本だけで利用されているテストであり、それ以外の国ではほぼ認知されていません。例えば、欧米企業に転職したい、欧米に留学したい、といったときにTOEIC900点ですっと自慢気に履歴書に書いたところで、全く評価されないどころか、何ですかソレ?というオチになってしまうということです。
なので私は、TOEIC学習熱が上がっている昨今の日本は一体何なのだろう、と首をかしげざるをえないのです。英語能力をTOEICで測定しようとする風潮を企業が作りだし、良い企業に入るために学生がTOEICの勉強をする、という循環です。結局日本企業は横並び、TOEICの有用性を否定して新たな評価方法を試す企業は極少数ということなんですね。
2. TOEICの利用法
ただ、そんな英語能力評価としては役に立たないTOEICですが、海外での活躍を目指す日本人にとって利用価値が全くないわけではありません。それは、海外留学に必要となるTOEFLの事前準備として英語基礎力をつけるということです。次回以降詳細に記述しますが、TOEFLは海外留学に必要というだけではなく、英語運用能力を高める上で最適なテストです。
英語力測定としては不十分なTOEICでも、語彙、イディオム、文法、リスニングなど、英語を使えるものにする基本事項は備えていますので、基礎を固めるには良いテストだと思います。
そこで、本サイトでは、海外トップMBA合格の英語力を培う基本としてTOEICを利用することを手段の一つとしますが、TOEFL受験までの腕慣らし程度という位置付けで良いと考えています。
まとめ
前回・今回と2回にわたり、海外トップMBAを目指す方々や、海外での活躍を目指す純ドメの皆さんを念頭に、TOEICスコアに固執することの危険性について話させていただきましました。TOEICスコアはあくまで参考値にすぎず、海外で英語を使い活躍するには、アウトプット能力が必要不可欠であることを忘れないようにしていただきたいです。
次回以降は、海外留学において提出が必要となるTOEFLテストについて、その概要とスコアアップの秘訣、またTOEFLの有用性について書いていきたいと思います。